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精神的に15歳になっていない者は観るな!!  『告白』

  
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 学校のプールで溺れた我が子の死は事故ではなかった。

 娘は自ら担任するクラスの生徒に殺されたのだと知った女教師は・・・


      告白











湊かなえさん『告白』を読んだ時の衝撃はいかばかりだったか。


本の内容そのものも読んだ後しばらく呆然としてしまうほどだったけれど、
これがデビュー作だと知って、
ああ、世の中にはこんなふうに描ける人がいるんだ・・・
と、感心を通り越して嫉妬のような感情すら抱いたものでした。
(アンタが作家に嫉妬してどうする!!)



で、感想をまとめるのに四苦八苦したのはついこないだのこと、

       その感想は こっち



それが映画化されると聞いて、
あの衝撃の内容をどう映像で表現するのか??
と不安を抱かずにはいられませんでした。




しかし・・・・


思ったよりよくできていました。


いえ、ものすごくよかったです。








・・・・
と、映画を観ていない方にはここでおしまいです。


ここからは映画の内容にふれまくりです。
ていうか、映画を観ていないとなんのことやら??かもしれません。









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さて・・・


我が子を殺した生徒の牛乳にエイズを発症した男の血液を入れる。
女教師が行った信じられない行為の結果
巻き起こった混乱と悲劇の嵐は本にあった通りですが、


あのなんともいえない不安感や、焦燥感、
どうしようもないいや~な感じのその雰囲気を


場面が次々に入れ替わる映像、
間に写り込む携帯メールの画面、
挟み込まれる風景や天気の描写、

などを駆使してものすごく上手く表現してありました。

突然入ってくるダンスシーンさえも、
なるほど、こんな風にイメージを作るんだ・・と思えるほど。



物語をそのままなぞるのではなく、
映像は映像独自のやり方で、
ああ、こう作れば本の世界観を表現できるのか!と納得させられます。








とまあ映画の作りそのものへの感想はこのくらいにして・・


話の内容についてですが、、
本と同様、映画の方もよく出来ていただけに、
観終わってからずっと考え込むことになってしまいました。



で、本の時ってどう思ったんだっけ? 
と、自分の感想を読み返したり・・。(それは こちら ←しつこい!)






読書感想に書いたことは割愛してここからが本番。


なんだか長くなりそうです・・・






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 『命の重さを知りなさい』 


我が子を殺した犯人の牛乳にエイズ患者の血液を混入した女教師はそう言った。



自分もエイズを発症するかもしれないという恐怖から
生きているありがたさを悟らせるため??

その後ひどいイジメにさらされる苦しみから
自分のしでかしたことの重大さを悟らせるため??



だとしたら、その教師の行為は大間違いだ。
犯人たちは命の重さに気づいてなんかいない。



一人は、エイズ発症の恐怖にただ、ただおののいていただけで、
最後まで自分の命の行方しか気にかけることはなかった。


そしてもう一人は命なんぞ無意味だと
さらに大量殺戮を行おうとさえする。

ただ、こっちの方は自分がスイッチを押した爆弾で母親を殺してしまったことを知り、
そこまできてやっと自分の行為を後悔できたかもしれない。


・・・かもしれないが、
命の重さを教えるために殺人と非人間的行為を連続させるとはいかなることだ!?


「これからあなたの真の更生が始まるのです。」
・・って、そのために払った犠牲が多すぎるだろう!!


でも・・・













なあんてね!!





そう、なあんてね なのだ!!



この女教師は、これっぽっちも命の重さを教えようとなんぞしていない。


彼女がやりたかったのは・・・ただ、











復讐!!








死刑が是か非かを考えるとき、
ワタシは “死刑なんかにしてしまったらそこで終わりじゃないか?” とよく思う。

自分の大事な人を殺した犯人が一瞬の苦しみだけでこの世から逃げてしまうなんて許せない。
気が狂うほど苦しんで、
できるだけ長くのたうちまわってほしい。

そう思うのだけれど、
この教師はまさにそれを実行したんじゃないか??
中学生だからといって全く手を抜かずに・・・






彼女が教師で、事件が学校という教育の場で起こったせいで、
さらに彼女の夫があくまで子どもの更生を信じる人格者だったせいで、
そして何より自分自身が、物語は希望を持って終わってほしい・・という願望を持っているせいで、


彼女の行為は命の重さを教えるためだと
観ている方が勝手に思っていたいただけなのだ。



彼女の頭の中には “復讐” という言葉しかない。

そして彼女の復讐は大成功だ!!



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我が子を殺された悲しみから犯人への復讐へ走る彼女、

初めてできたと思った友達が自分を利用していただけだったと知り、
そのショックから少女をプールに投げ込んだ犯人B、

溺愛してきた子どもが変わってしまったという悲しさから
我が子を殺そうとしする母親、

母親に捨てられた寂しさを殺戮で埋めようとする犯人A・・・




ワタシの人生が否定されてしまったようで悲しくてたまらない。だから子どもを殺して私も・・
ワタシは死ぬほど悲しいんだ。悲しいからとてつもない復讐に走るのだ・・
僕はさみしくてたまらない。だから殺すんだ・・





ひとは自分を悲劇の中心においてしまった時、人間じゃなくなってしまう。





とてつもない悲劇にみまわれた、悲しい、悲しい、悲しい・・
自分は不幸なんだ、さみしい、くやしい・・

そこにどっぷりとつかりきってしまった時、
もはや理性はあとかたもなくなくなり、
貰うのは “だから何をしてもいいんだ” という免罪符。


結果、復讐殺人に突っ走ってしまったら、
もはや人間じゃなくて、殺人鬼。
鬼じゃないか!!


いくら世間から、
可哀相!!
だからあんな行動に走ってしまったのも無理はないよね。

の言葉を貰えたとしてもだ。







ひどいことを言っているというのは百も承知で、
それでもあえて言えば、


その状況がどんなに悲惨なものであったとしても、
それに耐えた人は山ほどいる!!




 悲劇の中に浸ってはいけない。





彼女も
復讐としては大成功だったかもしれないが、
その身は、もはやあんなに憎かった復讐の対象者と同じ、
犯罪者に身を落としてしまった。





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アンタ、(殺された)あの子が可愛そうだと思わないのかよ!!




犯人だと名指しされた少年に待っていたのはクラスメイトによる壮絶なイジメ。
ただ一人、
競うように繰り返される制裁に加わらなかった少女に投げつけられた言葉がそれだ。





なにか犯罪があったときに世間に巻き起こる非難の嵐。

犯罪を憎むのは正しいことではあるが、
このクラスの様子は、
なにかことがあると、ここぞとばかりに
こぞって糾弾を開始する世間をみるようじゃないか。



事を起こすのは難しいが、
誰かについて行くのは簡単だ。
ましてやそれに正義という錦の御旗があったなら・・




ワタシたちは普通に考えて、この女教師と同じ行動をとることはないだろう。
犯人Aや犯人Bとなることもないだろう。


いつの場合も
私たちがとっている マスコミによってとらされている のは、この・・


その他大勢の生徒たちの立場。






自分の頭で考えることなしに
無責任に非難に追従していないか・・・













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さて、夕方から、考え考え書いてきて、もう夜中だよ。
そろそろ終わらなくっちゃ・・


というわけでもありませんが、
この映画はR15指定です。


なぜR15?
中学生だっていろいろと考えられる映画なのに???


ていうか、これを観てどんなことでもいいから考えてほしいのに・・・








まあ、でもねぇ・・

逆に大人の中にも

(誰がどう見たってそんな風に描かれていないにもかかわらず)
エイズに対する差別を助長する映画だ!
とか言うヤツが出てきそうだし、

やだあ!たくさん死んでこわぁい!!
としか言わないヤツもいそうだし・・

中学生は何をして罪に問われないからああやって復讐する気持ちもわかるよね、
とか言ってるだけに収まらず、
積極的に復讐を助長しようとするヤカラが出てきたら恐ろしいし・・



ワタシ的には、大人でもバカなヤツには観てほしくないですね。




ま、










精神的に15才に満たないものは観るな!!




ってことですかね。






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by michirudesu | 2010-07-21 23:47 | 映画な日常


好きなことしかしないっっ!!

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